紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
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  GAP(適正農業規範)

 適正農業規範(GAP) は「Good Agricultural Practice」の略称で,欧米で導入されている農業生産におけるリスク管理基準であり,世界的に普及しつつあります。中でも欧州(EU)のユーレップ・ジ−エ−ピ−(EurepGAP)が有名です。「EurepGAP」は,欧州の量販店で構成される欧州小売業組合(EUREP)が,消費者により安全な農産物を販売するために共同の基準作りを定めたことから始まりました。その内容としては,農業生産者に,食品の安全と品質維持,環境負荷低減,労働安全などの実践を求めています。具体的には,評価の項目を必須項目,必要項目,推奨項目に分け、肥料や農薬の使用方法,記録管理,トレーサビリティーなど210項目の遵守基準が定められています。認証を受けるためには,必須項目は100%,必要項目は95%以上適合していることが必要です。

  全項目のうち,農薬に関係する「作物保護」についての項目は全体の3分の1を占めており,「EurepGAP」では農薬管理が重視されていることが分かります。
EurepGAPでは,これらの評価項目が一定水準満たされていると第3者の「EurepGAP」認証機関によって認証され、EUREPはこれに基づいて農業生産者と取引することにしています。このことによって食品の安全性を確保し,消費者の信頼を確保し,ブランド力を高めようとするものです。したがって,わが国から果実などの農産物を欧州に輸出する場合にも,わが国の農業生産者は「EurepGA」の認証を事前に受けておくことが必要となります。

EurepGAP」は,農産物生産において単に価格だけではなく,農産物の安全性,労働環境の安全性,環境負荷の低減などを含めた実践を求めているので、欧州の農業生産者は域外の農産物と公平な土俵で競争することができるとされています。

わが国においても,大手量販店や生活協同組合等が農産物のリスク管理のための生産工程管理の考え方を取り入れつつあります。このような状況の下で,欧州への農産物輸出などで「EurepGAPの経験をしたわが国の農業生産者等がわが国の農業生産現場にもGAP導入の必要性を認め、「EurepGAP」下敷きとし,農林水産省のガイドラインなどを参考にして,日本の気候や法制を考慮した日本版GAPを導入しようと「日本GAP協会」を立ち上げました。農林水産省でも「『食品安全のためのGAP』策定・普及マニュアル」を作成してその普及に努めており,今後,各産地は「GAP」や類似の生産管理方式への対応や導入が求められることになるとみられます。


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